「緑色の目をしたドラゴン」を解説してみた (続編)

2年前に書いた「緑色の目をしたドラゴン」を解説してみた(前編中編後編)にコメントが来ました。
実は以前にもこれに関して
「ドラゴン同士がみつめると
緑色の目を再認識して見合せた同士が雀になり
片方だけ雀になります」
「何が起こったかわからないドラゴンが1頭だけ生き延びる」
とかいうコメントがきて
菅官房長官のごとく
「言ってる意味があまりよく分からないというのが率直なところだ。」

と思いながらソッコーで消したのですが、今回は意味が分かったので返答がてら取り上げてみようかと思います。

ということで先に
「緑色の目をしたドラゴン」を解説してみた(前編中編後編
を読んでからどうぞ。

コメントを要約すると、

例の発言がなくてもお互いの姿を見て「98頭以上の緑色の目のドラゴンがある事は全員が知っており、全員が知っていることを知っている」のだから、奴らは3日で自分の目が緑だと気づくのではないか、つまりこの発言は無意味ではないか

というご指摘です。

カラパイアのコメントらんでも議論のあった考え方ですね。
これとか。

囚人Aは自分以外の99人が緑目と知っている。
この時点でAが、隣の囚人Bが持ち得る情報を考えると、
(1)BはAを何色の目と認識しているか分からない
(2)BはB自身の目の色が分からない
(3)Bは残りの98人が緑目と知っている。
B以下99人も同じ考えに帰結するはずなので、ヒントがなくても
「少なくとも98人は緑目である」
という共通認識は持てるはず。
100日どころか収監されて3日目で全員脱獄。
何か間違ってる???

これとか。

Aは99人が緑目とわかっているが自分の色がわからない
Aが緑目なら他の99人も、A同様に自分以外の99人が緑目と認識するはず
Aが赤目なら他の99人は、少なくともAと自分以外の98人は緑目と認識するはず
そして、100人全員がAと同じ立場でものを考えられる。
だから、3人以上なら何人でも、n-2人は緑目であると初日に共通認識できるんじゃないのかな?


これらは、発言がない状態でも98人(nー2人)は最初から共有知識になっているとするという考え方で、とりあえずこの記事では「発言不要説」と呼びましょう。

ただ、カラパイアのコメントらんも含め、この問題の議論では、「発言不要説」のどこがまずいのかを指摘しないで本来の解答を述べているので、「発言不要説」を推す人は、自分の考えがこれで正しいのか、間違っているとしたらどこが間違っているのかを検証しきれない状況のように見えます。

ということで、この「発言不要説」について検討します。


ポイントは

「緑の目をしたドラゴンが98頭いることをドラゴン全員が知っている」ことを全員が知っているが、そこから「緑の目をしたドラゴンが99頭いることをドラゴン全員が知っている」ことを全員が知ることができるか。


これを「98頭の壁」と名付けてみました。ここを中心に考えていきましょう。


【ケース1:発言のあった場合】
しつこいようですが、せめて前編中編だけでも読んでからどうぞ。

中編にある次のパターン

「少なくとも…」といわれた(k-1)日後の朝に、まただれもスズメにならずドラゴンがn頭全員そろっていたとしたら、「緑色の目をしたドラゴンは(k-1)頭でもない(=少なくともk頭)」ということになります。
この日に、ドラゴンが自分の目が緑色と気づくのは、「自分以外のドラゴンのうち、緑の目をしているのが(k-1)頭だけの場合」に限られます。すなわち、
1)緑の目をしているドラゴンはk頭はいるはずだ。
2)でも自分以外のすべてのドラゴンを見ても、(k-1)頭しか緑の目のドラゴンはいない。もう1頭いるはずだ。
3)そうか、その「もう1頭」は自分自身か。俺の目は緑色だったんだ!
というロジックです。
この場合、その夜、k頭のドラゴンが一斉ににスズメに変わります。
でも、そうではなく、緑色の目をしたドラゴンがk+1頭以上いる場合は、自分の目が緑色という確証は得られないので、何も起こらずに翌日を迎えます。


が100頭になるまで繰り返されるのですが、ここでn=100(ドラゴンの数)、k=98を代入して再掲します

「少なくとも…」といわれた97日後の朝に、まただれもスズメにならずドラゴンが100頭全員そろっていたとしたら、「緑色の目をしたドラゴンは97頭でもない(=少なくとも98頭)」ということになります。
この日に、ドラゴンが自分の目が緑色と気づくのは、「自分以外のドラゴンのうち、緑の目をしているのが97頭だけの場合」に限られます。すなわち、
1)緑の目をしているドラゴンは98頭はいるはずだ。
2)でも自分以外のすべてのドラゴンを見ても、97頭しか緑の目のドラゴンはいない。もう1頭いるはずだ。
3)そうか、その「もう1頭」は自分自身か。俺の目は緑色だったんだ!
というロジックです。
この場合、その夜、98頭のドラゴンが一斉ににスズメに変わります。
でも、そうではなく、緑色の目をしたドラゴンが99頭以上いる場合は、自分の目が緑色という確証は得られないので、何も起こらずに翌日を迎えます。


朝の時点では「緑色の目をしたドラゴンが少なくとも98頭いる事実を100頭のドラゴン全員が知っている」という事実を100頭のドラゴン全員が知っています。

そして、囲みの部分の最後の分を言い換えると、何も起こらずに翌日を迎えたということは、緑色の目をしたドラゴンが98頭だけ、という可能性を消すことができたからです。さらに、その知識を100頭のドラゴンが共有できた、「98頭の壁」を突破できたのです。

もっとも「自分以外の人は緑色の目をしている。」という認識があるにもかかわらず、1日目に「自分以外99人の人が緑以外の目をしている」とういうそんなのわかってるよ!という仮定から入るところは、この謎解きを、ややこしく分かりにくくしています。

【ケース2:発言のなかった場合】
次に、例の発言のなかった場合。
コメントの指摘通り自分の目が緑だと気づくことができるのでしょうか。

100頭いるドラゴンのうち一人のドラゴンaに注目してみましょう。
ドラゴンaは自分以外の99頭の緑色の目のドラゴンがある事を知っています。
そしてドラゴンaは「a以外のすべてのドラゴン(このうち1頭をドラゴンbとします)は、緑色の目のドラゴンが少なくとも98頭(aとb以外)のいること」知っています。

ドラゴンaは100頭のドラゴンすべてに当てはまりますから、、「緑色の目をしたドラゴンが少なくとも98頭いる事実を100頭のドラゴン全員が知っている」という事実を100頭のドラゴン全員が知っています。
100頭のドラゴンで「緑色の目をしたドラゴンが少なくとも98頭いる」という知識がを共有知識になっている状態です。

なお実際は、ドラゴンaの目は緑色なので、他のドラゴンbも自分以外の99頭の緑色の目のドラゴンがいる事を知っているのですが、そのことをドラゴンaは知る由もありません。したがって「緑色の目をしたドラゴンが少なくとも99頭いる」というのは共有知識ではありません。

そして、この夜には何も起こりません。なぜならどのドラゴンも自分以外の99頭の緑の目をしたドラゴンを見ているからです。
さらにこれは昼間の時点でどのドラゴンたちは予測できます。なぜならドラゴンaは「ドラゴンbは、aとb以外の98頭が緑の目をしたドラゴンを見ているため、少なくとも98頭が緑の目という知識をもってしても、b自身の目の色が緑色だということに気づけない」ことを知っているからです。

この場合、ケース1のように緑色の目をしたドラゴンが98頭だけという可能性を消して「少なくとも99頭」としていいのでしょうか、すなわち98頭の壁を越えられるのでしょうか。



ドラゴンaは昨日と変わらない様子をみて、別のドラゴンbの思考について、次のように考察するでしょう。
ここで
1) ドラゴンaが緑の目だった場合、
 ドラゴンbには自分以外の99頭が緑の目だったことがわかる。しかし、「少なくとも98頭の緑色の目」という知識と合わせても、自分の目が緑色だということは導けないため、雀にならなかった。

2) ドラゴンaが緑の目でない場合、
 ドラゴンbには自分以外の98頭が緑の目だったことがわかる。しかし、「少なくとも98頭の緑色の目」という知識と合わせても、自分の目が緑色だということは導けないため、雀にならなかった。


 また、2)の場合、ドラゴンaは、「ドラゴンbが『緑色の目のドラゴンは98頭だけ(a,bいずれも緑の目ではない)ということもありえる』と考えている」と考えています。(ややこしい)(実際はaの目が緑で、bはそれを見ているので、そんなことは考えていないはずなのですが、それをaが知る由はない)

したがって、ドラゴンaからみて「bが 『98頭かもしれない』と考えている可能性がある」と考えている以上、98頭が緑の目だという知識は共有できても、99頭が緑の目だという知識は共有できない、「98頭の壁」を超えられないのです。

…と、ここまでいろいろ理屈をこねてきましたが、そういう小難しい話はおいといて、
自分以外の99頭が緑の目をしている。何日経っても何も変化しない。(雀になるやつは出てこない)
それだけの情報で自分の目の色がどうして緑色とわかるのか、という話です。


【2つのケースの違い】
「緑色の目をしたドラゴンが少なくとも98頭いる事実を100頭のドラゴン全員が知っている」という事実を100頭のドラゴン全員が知っています。
同じ文がケース1とケース2で登場していますが、実はその中身はちょっと違うのに気づかれたでしょうか。

そう、「少なくとも98頭」の「98頭」、確実に緑色の目をしたドラゴンの範囲です。
ケース1の「98頭」は そうか、その「もう1頭」は自分自身か。 というところからわかるように、98頭の中に自分自身が含まれることもありうるのですが、ケース2の「98頭」はドラゴンaとb、つまり2頭の「自分」は含まれていません。それ以外の98頭をさしています。

このため、「雀に変わるドラゴンが出なかった」という事実からケース1では98頭の壁を超えられても、ケース2では、最初から自分以外で緑の目をしたドラゴンが98頭そろっているので、「雀に変わるドラゴンが出なかった」のはある意味当たり前のことで、98頭の壁を超えられなかったのです。


【99の壁は存在しない】
蛇足ですが、98頭ではなく「少なくとも99頭」、一般化して「少なくとも(n-1)頭」が緑の目という共有知識なら話が変わります。
この「99頭」の中に、ケース2のように自分が含まれていない場合でも、「少なくとも99頭」を共有した翌日に誰も雀になっていない状況を見て
「もし、自分の目が緑色でなかったら、昨夜に自分以外の99頭が雀に変わっているはずだ。でも誰も雀になっていない。ということは自分の目は緑色だ」と気づくことができます。


これで理解していただけるとよいのですが。
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