pHをどう読む? (後編)

とりあえず、ペーハーではない、英語読みが現在では正しいということがわかりましたが、さらに細かいところを突っ込んできます。
「ピーエチ」か「ピーエチ」か、どちらなのでしょうか。

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前編で出てきた JIS Z8802(2011) では ピーエチ又はピーエチと読む。と両方を許容しています。

現行の中学校や高校の教科書では「ピーエチ」で統一されています。
教育界ではピーエチと勝負がついているようです。

一方、法令は計量法の別表第三、計量単位令の別表第三、計量単位規則の別表第二のそれぞれで濃度の単位として「ピーエチ」が挙げられています。
ただ、計量法のところでは ピーエッチが単位として、メートルなどと同じように扱われているのにちょっと微妙なものを感じます。「7.0メートル」と言っても、「7.0ピーエッチ」とは言わず、「ピーエッチ7.0」言いますし。ほかでピーエッチを扱えるところがなかったからなのでしょうが…。

エッチ派、エイチ派、両方許容派、見事に別れました。

学術用語集では…以前はオンラインで読みも調べられたのですが、J-GLOBALに統合されたら読みが表記されないので、本で調べみよう。理科準備室にあったはずだ。やっぱり最後はネットじゃなくて紙の本だよな。困ったときの”紙”頼み。なんちゃって。

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と思ったらなかった。そうだ、オンライン学術用語集ができたからもう君たちは用済みねって、大掃除の時に捨ててしまったかも。ガーン。まさか、提供終了になるとは思わなんだ。しぶとく図書館に予約をかけて文部省学術用語集 化学編 増訂2版 (1986)を見てみました。
和英の部では 順に用語の読み方を示すローマ字、用語、対応する外国語(主に米語)が書かれています。
で、該当の個所はというと
pH   pH →suiso-ion-sisu 
対応する外国語が書いてない! ローマ字もpHで役に立たないし!

次、英和の部。こちらは順に対応する外国語(主に米語)、用語、用語の読み方を示すローマ字が書かれています。
すると、
pH   pH   pH (pii-eiti)

pii-eiti、つまりピーエチだな!pii-ettiではないな!


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ところで、これは個人的な感覚なのですが、Hを「エッチ」というのは少々古い表現のような気がします。詳細は省きますが、「エッチ」は単にアルファベットの8文字目ということとは全く別の意味も持ってきていますし。そいうこともあり、Hは「エイチ」と読むのが新しいのではと。つまり、「エッチ」が古い、「エイチ」が新しいという仮説です。それなら、計量法が制定されていたのは昭和な「エッチ」の時代ですし、平成の教科書で「エイチ」と書かれるのもうなづけます。

それに関連して気になったのが、wikipediaの記述。

pHの読みは「ピーエイチ」(英語読み)、または「ペーハー」(ドイツ語読み)である。日本では1957年(昭和32年)にpHのJISを制定する際に読みが「ピーエイチ」と定められ、現在の法令[2]およびJIS[3]では「ピーエッチ」と定められている。



現在のJISでは「ピーエッチ」又は「ピーエイチ」なのですが、[3]の引用元がJIS Z8802の1984年版のままで最新版に反映していなかったことによるものだとします。すると2つの疑問がわきます
疑問1:だとすると1984年版では「ピーエッチ」だけが書かれていたのでしょうか。
疑問2:だとするとさらにさらに1957年(1958年ではないかという前編での話題は置いておいて)に「ピーエイチ」なのでしょうか。

もし、両方の疑問が正しいとするとJIS Z8802におけるpHの読み方は「ピーエイチ」→「ピーエッチ」→「ピーエッチ」又は「ピーエイチ」と迷走してきたことになりますが…。

でもそうではなく、制定時から「ピーエッチ」だったのが途中の改訂で「ピーエッチ又はピーエイチ」となったというのなら、エッチが古くエイチが新しいという仮説が裏付けられる一つの証拠になるでしょう。
また、その場合、昭和の教科書には、今とは違い、「ピーエチ」とふりがながふられていた可能性もあります。

問題は検証の方法です。旧JIS規格は図書館でもなかなか調べきれず、あの国立国会図書館をもってしても、1976年の改訂までしか遡れません。英語版は1964年版もありますが1957年当時の資料はありませんし、英語版ではpHの日本語の読みについて「エッチ」か「エイチ」か区別できるように書かれているようにも思えません(というか、どう書かれているのでしょう)。

可能と思われるおそらく唯一の方法は、日本規格協会のライブラリーで閲覧することくらいかと。平日の9時-17時の間に三田まで行くことになるので、この謎解きのつづきはしばらく後になりそうです。

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それからもう一つ今後の課題。
今回確認した学術用語集化学編は、昭和61年(1986)に出た増訂2版ですが、初版は昭和30年(1955)、増訂版は昭和49年(1974)に刊行されています。
この初版、増訂版にはどのように書かれているのでしょうか。特にJISで規定される前の初版がpHをどう読んでいたのか、非常に興味深いところです。

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