ニュータウンは黄昏れて

ひさびさの「書評・ブックトーク」カテゴリ。ようやくネタにしたい本が出ました。

垣谷美雨「ニュータウンは黄昏れて」新潮社、2013
2292-1.jpg

特に不動産関係者を中心にバカ受けな小説で、あちこちで絶賛されています。
郊外の団地を眺めて黄昏れたいあなたへ、不動産を高値掴みした人々が街と一緒に沈んでゆく小説「ニュータウンは黄昏れて」
不動産クラスタの課題図書?小説「ニュータウンは黄昏れて」が超面白いと話題
ニュータウンは黄昏れて/垣谷美雨のネタバレ(26件)
ブクログ > 垣谷美雨 > ニュータウンは黄昏れて

主人公は二人いて、このニュータウンに住む母と娘です。

母・頼子のモデルが作者本人だそうで、それだからか、頼子から見た、理事会をはじめとする住民達のの胸糞悪くなるような言動の描写や、駅からバスの不便な団地をローンで高値掴みしたため、売るにも売れず、もう「詰み」としか言いようがない状況など読んでるだけで胃が痛くなります(←ほめ言葉)。

一方、それに比べると娘・琴里の方は、ストーリーができすぎています。
・友達の三起子から自分の彼氏である金持ちの男とオペラに行ってほしいという不審な依頼。どう見てもデートじゃないか。
・予想通りの琴里と男の恋人展開、そしてなぜか三起子とは連絡が取れなくなる。
・ところが琴里はだんだんとあらわになる男のマザコンストーカー気質に嫌気がさし、別れたいと思う。
・実は三起子も別れたいと思って琴里に男を押し付けたかったのだ。
・そして琴里は友達の朋美に自分の彼氏である金持ちの男とオペラに行ってほしいという依頼をする…。
この先も話は続きますが、この部分を切り取ったら、80年代のフジテレビあたりでやっている深夜の30分枠のドラマにありそうな展開じゃないですか。ここまでくるとフィクションめいてきます。

ちなみに三起子・琴里ラインはラストで別れるシーンが見もの。

三起子「私たち、これからも友達でいようね」
琴里「それは無理だと思う」

いいなぁ。この切り返し。

ところで、この物語、主人公の母と娘、最後どうなったか。
母の方は「まだ自分にできることが何かあるはずだ」と気持ちを新たにしたシーンで終わっています。が、小説がたまたまそこで終わっているだけで、またしばらくしたら、このラストの直前のシーンのように、現状に妥協しようとする気持ちになったりするんじゃないでしょうか。妥協と現状打破、この2つの気持ちの間で揺れ動き続けるような気がします。でも、不動産を高値掴みし、ローンも残っているという悲惨な状況は全く変わらない、むしろ資産価値が減りつつある。
娘の方は、金持ちだが性格に難ある男と別れ、農家の男と結婚し、八百屋を開いていて、唯一の趣味は節約。
でも、二人とも幸せそうに見える。

ただその幸せは喪黒福造にココロのスキマを埋められた人たちとおんなじで、客観的に見ると「どうなのよそれ?!」という状況に見え、私には額面通りに受け取れない何かがあります。
関連記事

コメント

Secret

月別・カテゴリー別はこちら

ご来場者数
スポンサードリンク
リンク
キーワードでお探しします
お手紙、待ってます(はぁと)!

名前:
メール:
件名:
本文:



この人とブロともになる

QRコード
人気ブログランキングへ
明日天気にな~れ!

-天気予報コム- -FC2-
今夜の月はどんな月?
CURRENT MOON
RSSリンクの表示