理科教育ニュース 加熱するときに使う実験器具を確認!

昨年末いろいろこれ以上無理と判断せざるを得ないという状態になり、そこから立て直す一環として1か月ほどブログを休止しました

それ以外にも、学校外の仕事について、教科書の編集委員を除いて、すべてごめんなさいしました。できれば教科書も…だったのですが、数年越しのプロジェクトにすでに着手してしまったので、今更抜けると多大な迷惑がかかるだろうと思って継続しました。
辞めた仕事の中には公私ともに付き合いたい仲間(チーム)とともに高難度ながらも充実していた、自分の中では大切にしたかったものもあり、本当に辞めてよかったのか、今でもその時の判断に悩むものもあります。

一方、そのような小さくない犠牲の下、平日と休日の一部はともかく、週に1日程度は社畜生活から解放され、なんとか健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるようになりました。休止したブログも、ご覧の通り毎日更新できています。(ブログよりほかの仕事を優先すべきではないかという議論は置いといて)

そうすると無理のない程度に学校外の仕事をやる余裕ができたのではないかという錯覚が起こってきます。もともと外の仕事は自分の好きなこと、やりたいことで(そうでなければわざわざ引き受けない)、精神的逃げ道みたいな面もあるので、休む余裕ができても外の仕事が全くないのも案外バランスが悪いのかな、と感じ始めていました。

そんな時に学校にかかってきた一本の電話。新しいお仕事の依頼です。
それが今回のお仕事なわけです。

ちなみにこの仕事を終えて「よっしゃ、以前のようにバリバリお仕事引き受けるぞ」と思っていたら、その直後、あることがきっかけで1週間以上気分の落ち込み+不眠状態が続いたのはまた別の話。 orz



理科室の壁に「理科教育ニュース」ってポスターがあります。
月3回発行していて、毎回、面白い観察や実験などをビジュアルに紹介しています。

で、今回の仕事は
5月中旬号「加熱するときに使う実験器具を確認!」で
1.掲示用カラーポスターの監修
2.資料中のワークシートの監修
3.資料の解説原稿の執筆
の3点です。

私自身、廊下に貼った「理科教育ニュース」の写真に見入ることが多いですが、やっぱりいつものことながら掲示用ポスターは魅せる写真が多いです。コンテンツやレイアウトの部分で修正を提案することはあっても、写真については最初から満足いくものでした。さすがです。

ワークシートもいただいたときにかなりの部分出来上がっていたので、こちらもオッケー。

そして解説原稿。関連したことを何でも書いてよいということでしたが、加熱器具に関連して何を書くか、というところが人によって違いの出るところ。新しい加熱器具、加熱器具にまつわる事故事例、特定の加熱器具について掘り下げる…。
とすると私が得意とするマッチネタが面白いのではないかと。

問題は字数。1200字。図も入るとさらに少なくなります。マッチについてもいろいろ話題が多いので、限られた字数の中、どのエピソードを紹介しようか悩むところでもあります。

外せないのが、最近マッチを見かけなくなったという話を導入がてら触れること。それからポスターなどで詳細に扱えなかったマッチの使い方。それから、例の標本を見せたいので、昔はマッチの作り方まで学習していたこと。
そこに学校でマッチが不要か必要かの議論をからめてまとめました。


供養がてら、削った文章をここにのっけておきます。

実際、マッチの国内生産量は、昭和48(1973)年に約80万マッチトン( 1マッチトンは並型(小型)マッチで7,200個分、マッチ棒30 万~40 万本に相当)をピークに、平成28(2016)年では12268マッチトンまで減っています。平成29年3月には、で国内最大手のメーカーである兼松日産農林株式会社(現・兼松サステック株式会社)がマッチの製造販売事業から撤退しています。

マッチがあまり使われなくなったため、マッチで火をつけられない、つけたことがないという人も増えています。平成27(2015)年に象印マホービンが行った調査によると、マッチで火をつけることができる小学生はわずか18.1%です。

 ちなみに、ホステスなどが客のたばこに火をつけるためにマッチを擦るときは、これとは逆に奥から手前、つまり自分の方に擦っています。これは目の前の客に火がつかないようにという配慮で、手前から奥に擦ることが火をつける側にとって安全(目の前にいる客にとっては危険)だからこそ、万一の時に客を傷つけないようにと細やかな気遣いとして成り立っているのです。


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それから、マッチ製造順序及其製品標本についても、何年かぶりに調査研究してみました。

この標本はおそらくは大正時代のものと考えられますが、これが入っていた箱のふたの裏に、「教材の選定及蒐集に就ては教科書に準拠して一々専門家の考慮査定を経実地に調査の上製作したもの故極めて正確であります」(旧字体の漢字は現在のものにしてあります)とあります。
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「教科書に準拠して」このマッチ製造順序及其製品標本があるわけだから、教科書にマッチの製造法が書かれていたということになります。

昭和22年の学習指導要領では、試案とはいえ、第五学年で火と空気という単元があり、その中で使用済みのマッチ棒の先に調合したか薬をつけてマッチを作るなど、今だったらとても怖くてやれない、まして5年生にこれやらせるか…ってことをサラッと書いてあります。

単元十二 火と空気
 (一) 指導目標
1,火の出方や火と空気の関係を理解し,空気の成分を知る。
2,呼吸による空気の変わり方を理解する。
3,ものごとをくわしく究める能力を練り,工夫創造の念を養う。

 (二) 指導方法――児童の活動
1,火きりきね・火きりうすを使って火を作ってみる。その他いろいろの物をこすると熱の出ることを試みる。
2,火打ち石を打って火花を出し,火口に燃え移らせてみる。
3,硫黄をとかして,木の薄板,または紙片ぎれにつけて,つけ木を作ってみる。
4,マッチの火のつき方を調べて話しあう。
5,マッチの箱の薬に火をつけて,燃え方を観察し,それがおもに何んであるかを,においなどによって調べる。そしてマッチの箱の薬のはたらきについて研究し,話しあいをする。
6,薬を調合し,使いずみのマッチの棒を利用してその先につけ,マッチを再生してみる。
7,マッチの棒の薬の調合に使う材料について,そのはたらきを調べ話しあいをする。
8,塩素酸カリと二酸化マンガンを熱して,酸素を作り,酸素の中での物の燃え方について調べてみる。
9,夏から乾かしてあるクワの枝を出して目方を計り,なまのときに計った目方との差から,なまのクワの枝に含まれている水分の量を見出してみる。
10,クワの枝の焼ける様子を観察する。
11,炭が燃えて炭酸ガスのできることを調べる。
12,空気の成分について研究し,話しあいをする。
13,呼吸した空気を調べてみる。
14,潜水夫の呼吸について考えてきて話しあいをする。

 (三) 指導結果の考査
1,次の事項を中心にして,平素の学習状態を観察し,記述尺度法によって考査する。
(1) 火を作ることの研究で,発明発見の過程に興味を感じ,その重要性を認識するようになったか。またその結果,発火法についてどんな疑問をもったか。
(2) マッチを作ることにおける,企画的な態度,工夫の態度。
(3) マッチの薬品についての研究で,その企画的な態度及び予想をためす能力,更に分析的にくわしく究めようとする態度。
(4) 薬品を取り扱う態度。
(5) 酸素の性質を研究する際などにおける比較観察の能力。
(6) 数量的に処理する能力。
(7) 実験の態度及び技術。

2,次の事項についての理解の状態を,再生法・選択法・真偽法・訂正法・判定法等によって考査する。
(1) マッチの箱や棒についている薬品の種類とそのはたらき。
(2) 火と空気との関係。
(3) 呼吸による空気の変わり方。
(4) 空気の成分。



さすがに昭和26年の改訂版では、中学3年に移行し、かつ、マッチをつくるのは教師実験となっており、一方後退しています。それでも十分…ですが。

第3学年 主題「科学の恩恵」
単元Ⅱ 天然資源を開発利用し,さらにこれから新しい物資をつくり出すのに科学はどのように役だっているか
5.天然資源からどのような工業薬品が造り出されるか
(4) マッチや火薬はどのようにして造り出されるか
話合い マッチや火薬類について知っていることを話し合う。
教師の実験 次の実験をして生徒に示す。
          a.マッチ・花火をつくる
          b.綿火薬をつくる
教師の説明または研究と発表 ダイナマイト・無煙火薬,T.N.T.などの製法と用途について説明する。または生徒が調べて発表する。



この時期は指導要領がまだ試案の段階なので、教科書は必ずしもこの通りにはなっていませんが、例えば中教出版「自然のなぞ 改訂版」(昭和30年発行)には「マッチは何でできているだろうか.」という項目があります。そこにはこのように書かれています。

5.マッチは何でできているだろうか.
(略)
 マッチの棒には,燃えやすいイオウやリュウ化アンチモン(Sb2S3)などと,熱せられてサンソをだすエンソ酸カリウムとがつけてある.また,箱の薬紙には,もうえやすいセキリンや,サンソを出す二サン化マンガン(MnO2)や,摩擦を大きくするガラスの粉などがつけてある.
 マッチの棒を強く薬紙でこすると,摩擦のために,棒の先の薬の温度が,燃焼をはじめるにたりるだけの高さになる.それで,はげしいサン化がおこり,棒の薬がほのおをあげてもえだす.
(略)


ちなみにこの後、昭和33年の改訂で経験主義から系統的な学習へ転換したのに伴い、マッチづくりはなくなってしまいました。

【新刊】平成29年版 新学習指導要領の展開 理科編

明治図書から「平成29年版 中学校新学習指導要領の展開 理科編」が刊行されました。

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中学校では平成30年度から移行措置が始まり(また「補助教材」が出回るらしい(ソース:この文書の第2の4(5))、平成33年度(といってもそのときはもう「平成」じゃないけど)から完全実施する新学習指導要領ですが、明治図書では各教科について新学習指導要領の展開を刊行しています。で、その中学校理科版です。

この本では、いわゆる「ミステリーパウダー」の実践を執筆しました。

来年度の理科教育法の参考図書はこれだな。
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